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コクセター・ディンキン図形

コクセター・ディンキン図形とは?

コクセター・ディンキン図形とは、コクセター群を表すための図形で、
D-o4o-o
このような単純な図形のことを言います。
コクセター群は抽象的な意味を持っているようですが、一般次元で多胞体を扱ううえではもっぱら対称変換群の分類に使われます。
……偉そうに説明していますが、私は「抽象的な定義」のほうは全然理解できませんし、対称変換群の意味もちゃんと分かっていないかもしれません。
それでも、この図形が本来の意味を抜きにしても素人目で多胞体の分類に便利なことは分かりやすく、素人である私もこの図を好んで使います。
サイト内で「C・D図」といえば(コンパクトディスクではなく)この図形のことを指します。

素人による素人のための解説

大雑把にいえば、多胞体を表すコクセター・ディンキン図形は でできています(本当に大雑把ですが)。
図示しやすくするために3次元で説明します。

3次元における球面三角形との対応

D-o4o
まず点の数はそのまま次元の数に一致し(この場合は3次元)、ひとつひとつの点が球面に描かれた球面三角形のと対応します。
棒や、それに添えられた数字は球面三角形の各頂点の角の大きさを表します。
数字が書いていない棒は「3」、棒で繋がれていない部分は「2」を意味します。
これらの数字は、対応する頂点の角の大きさがπ/nラジアン(180/n°)になることを表します。
コクセター・ディンキン図形→球面三角形の変換はこんなイメージ。
コクセター・ディンキン図形から球面三角形への変換図示
左下図のABCと球面上の辺ABCがそれぞれ対応しています。
左下図から球面三角形に変換する際に頂点と辺が入れ替わっているので注意が必要です。
このようにして作られた図形は、「裏返し」を繰り返すことで球面を覆い尽くすことができます。
その際に球面にいくつもの大円が現れますが、この大円ひとつひとつ(を含むような平面)が左右対称の「鏡」となります。
万華鏡のように、同じパターンが反転しながら繰り返される様子をイメージすれば分かりやすいでしょう。
また、この「鏡」の組み合わせそのものが対称性を表します。
つまり、コクセター・ディンキン図形から丸を除いて点と棒と数字だけにしたものが一致するような図形は、全く同じ対称性を持っていることになります。

多面体の作成

コクセター・ディンキン図形に書かれた丸は、多面体の頂点と辺の配置を表します。
とりあえず、丸が打たれた点やそれに対応する辺(鏡)を、英語版Wikipediaに従って「アクティブな鏡」と呼ぶことにしましょう。

アクティブな鏡

なぜか最初の図で左回りにABCを振ってしまったので、それに従います。
左図は、最初の図の球面三角形をひとつ取り出して無理に平面に押し付けたものです。
点Cに丸を付けたので、球面三角形の辺Cが「アクティブな鏡」です。
イメージが湧くといいのですが。

頂点と辺の配置

アクティブな鏡が分かったら、アクティブではない鏡の上に多面体の頂点を置き、そこからアクティブな鏡に向かって垂直に辺を引きます。
この場合は、辺Aと辺Bがアクティブでない鏡なので、その交点に頂点を配置します。
この頂点と辺を万華鏡のように球面全体に映すと、不思議なことに(球面上に作られるので膨らんでいますが)多面体が完成します。
(なんとなく正8面体に見えませんか?)

頂点と辺の配置A 頂点と辺の配置B 頂点と辺の配置C

他の例も載せておきます。
アクティブな鏡が2つある場合は、2辺との距離が等しい場所に頂点を配置します。
全ての辺がアクティブな鏡の場合は、3辺との距離が等しい三角形内の点に頂点を配置します。

このように、1種類の球面三角形からいくつもの多面体を構成することができます。
そのパターン数はどの次元においても(次元数)2-1だけあります。
例えば o-o4o で表される球面三角形からは、立方体・正8面体・切頂立方体・切頂正8面体・立方8面体・斜方立方8面体・斜方切頂立方8面体 の7種類が構成できます。

H-H4H
特殊パターンとして、丸を付けるかわりに元の点を消してしまうようなパターンもあります。
これは「回転対称性を維持しつつも鏡映対称性を失ってしまう」ようなパターンだそうです。
ねじれ立方体など少数しか存在しないので(+私がきちんと理解できていないので)、ここでは解説を省略します。

で、何がすごいのか

ここまでで、コクセター・ディンキン図形から多面体を作る方法を紹介しました。
それで結局、この点と棒の何がすごいのかというと、

  • 次元が違っても使い方や意味が変わらない
  • 点と棒だけで一般次元における全ての鏡映対称群を表すことができる
  • 点と棒と丸だけで全ての基本的な正多胞体・半正多胞体を表すことができる
  • 個人的にワイソフ記号やシュレーフリ記号より分かりやすい

……といったところでしょうか。
中でも素人的に強力なのが「次元が違っても使い方や意味が変わらない」「全ての基本的な正多胞体・半正多胞体を表すことができる」です。
よく分かっていなくても、とりあえず多胞体を列挙することができるわけです(笑)。

4次元においては

それでは本題に入りましょう。
「素人による素人のための解説」では3次元で見てきましたが、これを4次元、ひいては一般次元に拡張するにはどう「読みかえれば」いいかを知っていればOKです。
点や棒ひとつひとつの意味は変わりませんが、変わってくるのは「多胞体に変換」する段階。
基本的には全ての次元をひとつずつ上げれば4次元に対応します。

3次元 4次元 一般次元
ひとつひとつの点が
球面に描かれた 玲胞に描かれた (n-1)次元超球面に描かれた
球面三角形玲胞4面体超球面(n-1)次元単体
と対応 と対応 (n-2)次元面と対応
棒が表す数字は
対応する2辺のなす角の大きさが 対応する2面のなす角の大きさが 対応する(n-2)次元面のなす角の大きさが
π/nラジアンになることを表す

……4次元においてはオリジナルの表現を使いました。
標準語で言うなら「超球面上に描かれた超球面4面体」でしょうか。

F4

ここで、サイト名の由来にもなった'F' の登場。
コクセター・ディンキン図形で表される多面体や多胞体の対称性は「有限コクセター群」として(正確にはその具象として?)、 次元を越えてグループ化されています。

o-o~o-o 全ての次元で通用するAnグループ(正4面体や正5胞体に対応)、
o-o~o4o 同じくBCnグループ(立方体/正8面体や正8胞体/正16胞体に対応)、
o-o~ov 同じくDnグループ(5次元以上で個別の図形になる「半立方体」が対応)が基本形。
3次元・4次元ではこれに加えて
o-o5o H3(正12面体/正20面体に対応)
o-o-o5o H4(正120胞体/正600胞体に対応)
があります。「5角形族」といったところでしょうか。

そしてなんと、4次元のみに現れる例外群
o-o4o-o F4(正24胞体に対応)
があるわけです。なんと、端っこの棒以外に数字が添えられるのはこのF4のみです(小並感)。
4次元図形の不思議な魅力はこのF4に詰まっているといっても過言ではありません。
そんなF4の魅力は、後に正24胞体の個別記事で紹介したいと思います。